第1空挺団「降下訓練始め」に11ケ国の空挺部隊が参加

1月12日習志野演習場



垂直尾翼にYJの文字。横田基地所属のC-130J輸送機(25.1.12 木元 茂夫 撮影)


降下した米軍空挺部隊。演習場の外にはすぐに民家がある(25.1.12 木元 茂夫 撮影)


島嶼に上陸した相手国部隊の攻撃に向かうという想定の、16式機動戦闘車(25.1.12 木元 茂夫 撮影)


負傷した隊員を大型ヘリに搬入する第一空挺団(25.1.12 木元 茂夫 撮影)


演習、最後のパフォーマンス。疾走する米軍空挺部隊(25.1.12 木元 茂夫 撮影)


オーストラリアとシンガポールの空挺部隊演習、最後のパフォーマンス(25.1.12 木元 茂夫 撮影)

25年の陸自第一空挺団「降下訓練始め」は、例年の訓練とは違うところが多かった。

@中谷防衛大臣は、要人輸送ヘリEC-225LPを使用せず、大型ヘリCH-47で来場した。

Aいちばん最初の降下者は第一空挺団長の若松純也陸将補、防大36期、1970年生まれである。
続いて降下した隊員も名前と階級がアナウンスされた。3人目の降下者は日の丸を持っていた。はじめて見る光景だった。

B演習場には、1942年の軍歌「空の神兵」(作詞梅本三郎、作曲高木東六)が繰り返し流されていた。「落下傘、落下傘、その純白に赤き血を捧げて悔いぬ奇襲隊、この青空も敵の空」という歌詞の歌である。演習場で聞くのははじめてだった。

C続いて、米軍を先頭に11ケ国の部隊が次々に降下。アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、ポーランド、フィリピン、シンガポール。これも名前と階級がアナウンスされた。米軍だけは米国製パラシュートを使用し、他の国は日本製バラシュートを使用していた。

D場内アナウンスは「戦って必ず勝つ」を繰り返す。これもはじめて。

E降下に使用された航空機は、第1ヘリコプター団の大型ヘリCH-47、米軍横田基地の輸送機C-130J、空自小牧基地の第1輸送航空隊のC-130H。ここ数年登場していた大型輸送機C-2は、今年は登場しなかった。

F演習の状況設定は、「島嶼部に上陸した敵の排除」が基本、これは例年どおり。「我の降下を妨害せんとする装甲車部隊が登場した。これから撃破する」。戦闘攻撃機F-2による攻撃、そして、艦砲射撃、この二つは「音」だけである。攻撃ヘリAH-1、これは例年通り。重機関銃を搭載した汎用ヘリUH-1が急降下して攻撃、これは今年はじめて。16式機動戦闘車と10式戦車も登場したが、12式地対艦ミサイルは今回登場しなかった。

G大型ヘリを使った負傷兵救出訓練。

H訓練の最後に11ケ国の空挺部隊が、国旗をもって突撃するパフォーマンス。

I中谷防衛大臣の訓示は、今回はなかった。近くにいた隊員に聞いたら、「表ではやらないのかもしれませんね」という返事だった。

招待国はとうとう11ケ国にもなった。鹿児島の徳之島では演習場ではない「生地降下」を繰り返し実施し、インドネシアでのスーパーガルーダ演習への参加し、インドネシア、オーストラリア、英国などと共同演習を繰り返すようになった第1空挺団。今後の動向、要注意だが、24日には千葉県知事から要請で鳥インフルエンザへの対応で、第1空挺団員150名が銚子の養鶏場に殺処分の支援のため派遣された。第1空挺団といえども、災害派遣から除外されることはないと知って、少し安心するところがあった。

(木元 茂夫)


■横田基地関係市町村は12月20日付で要請



2025-1-27|HOME|